ふたりごと

あの人と同じ部屋で暮らしたあの一週間。
今思い返せば夢のようだった。
早朝にあの人がうちに入ってきて、私の布団にもぐりこむ。
久しぶりのにおい。
この心地。
あの人の腕の中で夢を見た。

旅行は思い出作り。
温泉と雪にはしゃぎながら街を歩いたり。
幸せだなぁと思った。

帰ってきてからも、夜はずっと一緒にいた。
寝るときは二人一緒。

二人で街を歩くのが大好きだった。
他愛ないことを話しながら散歩するのが大好きだった。
隣を歩く人が大好きだった。
どうしてこの想いに今気づいたんだろう。

本当に結婚したかったな。一生あの人の隣にいて、
彼を励まし
なぐさめ
お尻を叩きながら
一人前の男にしたかったな。

涙はまだ出てくる。
でももう戻りたいという気持ちは出てこない。

ようやく私の中で消えた。



一緒に寝たはずのこのベッドで
あの人がいたことを思い出そうとしてもぼんやりとしか出てこない。
ただ、あの人の頭を抱いて
なでていた場面だけ。